気高きエネルギー - Cthulhu Scenario Storage|クトゥルフシナリオストレージ

気高きエネルギー

【このシナリオについて】

シナリオ傾向:シティ、現代
推奨人数:4人~
戦闘:有り
推定プレイ時間:3~4時間
難易度:少し難しい
システム:クトゥルフ神話TRPG

【あらすじ】

探索者達は友人であり、最近様子がおかしいと噂されている池谷守を訪ねる。
探索者達を迎えた池谷は明らかに様子がおかしく、まるで別人のようである。
そして、池谷との会話中、目の前にいるはずの池谷から「助けてくれ」というメールが届く。
探索者達は様々な危機を乗り越え、友人を救うことができるのか?

【資料】

エメラルド小像
胎児によく似た姿勢で自分を抱え込んでいるような人間型の生物の像にみえる。
10億年前、古のものが防護エネルギーの殻の中にニョグダを封印し、バッテリーとして像を作った。
本シナリオでは現在もその力を保っており、ニョグダを封じ込め続けているものとする。
エメラルド小像は、古のものにより作られた遺跡に置かれており、「生けるものたち」が守護している。
古のものに作られた「生けるものたち」は、人類に発展する種の仲間であった。

ニョグダ(基本222P)
STR80 CON40 SIZ80 INT20 POW28 DEX20 HP60 SANチェック1D6/1D20
武器
触肢 100% 1D10or〈組みつき〉 範囲攻撃
※各ラウンドにおいてうけるダメージの最初の10ポイントを無視する。

ショゴス・ロード(カルト・ナウ71P、マレウス・モンストロルム57P)
STR24 CON31 SIZ18 INT13 POW14 DEX11 EDU14 DB2D6 HP25 SANチェック1D6/1D20
※人間時のステータス
STR15 CON13 SIZ18 INT13 POW14 DEX11 APP7 EDU14 DB1D6 HP16
武器
押しつぶし(ショゴスの姿) 100% 2D6
こぶし 95% 2D3+DB
組みつき(偽足) 95% 体に取り込まれ、毎ターン1D6ダメージ。STR対抗で逃れられる。
※火と電気による攻撃を半減。
※物理的ダメージは1ポイントダメージ。
※毎ターン2ポイントの耐久力再生。
直観力に優れ、自らの意思で行動するだけの知性を成長させたショゴスの総称。
人間に擬態したショゴス・ロードのほとんどは、小太りで柔和な笑顔を絶やさないと言われている。
彼らは狡猾で、魅力的で、どこか人間とのやり取りにはぎこちないところがある。
感情の制御を失ったり、怒ったり、気を散らされたりすると、すぐに真の姿へと崩れてゆく。
しかし、より洗練された能力で小柄な女性に変身したり、分裂して独立した行動をとる個体も確認されている。

王立遺跡協会報(キーパー・コンパニオン14P)
斜め読みに4時間/研究理解に2週間。1D2/1D4の正気度喪失。〈クトゥルフ神話〉に+4%。〈人類学〉〈オカルト〉〈考古学〉の経験ロール。〈古のものの言語〉(初期値1D6+1%)を獲得。
本シナリオでは以下の情報を読み取れるものとする。
・1912年に出版された「王立遺跡協会報」で、ウィンドロップという人物の論文が掲載されている。
・その内容は、本人がアフリカで見つけた砕けた石板に記されていたルーン文字を翻訳したものである。
・石版は人類が現れる何百万年前に地球上に生息していた「古のもの」によるものである。
・古のものは「ニョグダ」と呼ばれるものをエネルギー殻に封印することに成功した。
・また、エネルギー殻を維持するためのバッテリーのような役目を果たすものとしてエメラルドの小像を作った。
・エメラルドの小像に含まれるエネルギーは膨大だが有限である。
・エメラルドの小像を守るものとして、「生けるものたち」と呼ばれる生物を作った。
・その他、いくつかの古のものの都市の名前やルルイエといった単語を確認できる。

MAP
照口市


池谷、大山のアパート(面倒なので共通)


庄田建設


東南電力新発電所


【舞台設定】

舞台はまあまあの規模の都市である照口市である。この町には東南電力という電力会社の発電所がある。
東南電力は長らくこの地方に電力を供給してきた会社である。以前あった地震の影響により原子力発電所は現在停止されている。
しかし、東南電力は値上げなどを行わず電力を供給することができている。
世間では新エネルギーへの投資が実を結んだことや、数年前にあった人事一新などが功を奏したのではと言われている。
現在の東南電力の主な発電源は、実験用の発電所地下で発見されたエメラルド小像のエネルギーである。
新エネルギー源を探すため南極開発にも積極的だった東南電力社は、ショゴス・ロードと接触していた。
その結果、ショゴス・ロード達は建設中の東南電力の発電所の地下に、「古のもの」の遺跡があることを知る。
その遺跡とは、「生けるものたち」が密かに守る、エメラルド小像が置かれた遺跡であった。
ショゴス・ロード達は「古のもの」の力を得るため、東南電力の中に力を伸ばしてゆく。
数年後、東南電力の幹部はショゴス・ロードのみ(多くは小太りで笑顔を絶やさない男である)になっていた。
3か月ほど前、ついにショゴス・ロード達は遺跡を守る「生けるものたち」の多くを殺害・拘束し、遺跡を奪い取ることに成功する。
エメラルド小像の研究は中々に進むものではなかったが、彼らはエメラルド小像からエネルギーを抽出することに成功する。
彼らはそのエネルギーを電力に変え供給することにより、自身の支配する東南電力の更なる規模拡大を目指した。
しかし、エメラルド小像のエネルギーが弱まったことにより、エネルギー殻に封じられていたニョグダが解放される。
今やニョグダは発電所の周りであれば自由に行動することができる。ニョグダは範囲内の人間を攫っている。
ニョグダは自身を封じた「古のもの」へ恨みを持っているのか、彼らとかかわりのあるショゴスや生けるものたちを多く狙う。
池谷は幸運にもショゴスの襲撃から逃れることができたが、現在はショゴスとニョグダにほとんど追いつめられてしまっている。
彼は追手から逃れつつメールを送り、必死の思いでエメラルド小像の奪還を探索者達に託す。

【導入】

友人である池谷と3か月前から約束をしていた探索者達は、当日、照口市にある池谷の家へと遊びに行く。
友人は池谷守というフリーターである。彼は30歳の男で、探索者達はここ2か月、ほとんど連絡がとれていなかった。
池谷は日本人離れした容貌の男で、肌は白く目が赤い。親しい探索者であれば日光が苦手なこと、目がかなり悪いことも知っている。
「○○日に行くよ」などと連絡すれば、かなり時間を置いたあと「必ず来てくれ」といった返信が送られてくる。
共通の友人からは、同じく2か月ほど前から連絡をよこさないこと、遊びの誘いにも乗らないことなどの話を聞ける。
更に詳しく聞くのであれば、ここ数年はかなりアルバイトが忙しいようであったこと。徐々に連絡が取れなくなっていること。
2ヶ月前からは一切連絡が取れておらず、家にもいないことを教えてもらえる。
その他の導入として、池谷友人などから、最近様子がおかしい池谷守を調査してくれと頼まれるかもしれない。
その場合、依頼者は池谷から「助けてくれ」というメールを受け取ったこと。ほとんど連絡が取れないこと。
池谷の友人たち(探索者)が家を訪ねる予定であることを教えてくれる。
なお、池谷は恐らく天涯孤独の身であり、探索者達の知る範囲では家族はいない。

池谷はショゴス・ロードとニョグダに狙われ街を逃げまわっている。
彼は一種の狂気に陥っており、あたりを警戒し続けている。そのため、探索者達と連絡をする時間をとろうとしない。

この街に住んでいる探索者がいる場合、池谷のような肌と目をした人物を時々見かけている。
ただし、最近はそのような人物をみることが無くなっている。

【池谷のアパート】

池谷は古いアパートの一室に住んでいる。郵便受けには手紙が溜まっており、窓に置かれた鉢植は枯れている、
〈目星〉に成功する、または鉢植を調べると、最近何者かが鉢植を動かした形跡に気づく。
続けて〈アイデア〉に成功した場合、池谷は鉢植の下に鍵を隠していた事を思い出す。しかし、今鍵はないようだ。

アパートの大家や隣人などに池谷について聞く場合、以下の情報が得られる。
・池谷はここ三ヶ月ほとんど家に帰っておらず、特に二ヶ月前からは全く姿を見ていない。
・家賃も滞納しているようで、大家が困っている。
・池谷自身は人当たりの良い性格だったが、外出していることが多く近所付き合いはなかった。
・つい先ほど、同じように池谷について聞いてくる人がいた。体格の良い少し太った男で、優しそうな笑みが印象的。

【友人との再会】

もし扉に〈聞き耳〉を試みる場合、中から何かをものを動かしているような音がする。
探索者達がノックをするなりチャイムを押すなりすると、しばらく間をおいて「はい」と返事が帰ってくる。

中にいるのは東南電力社長で優秀なショゴス・ロードである中田裕二。
彼はニョグダの情報を得るため、池谷の家を突き止め訪れている。彼は友人である探索者から話を聞くことを思いつく。
優秀なショゴス・ロードである彼は体を分裂させ、1体を奥の部屋の探索に、本体を池谷の姿に変え探索者たちを迎え入れる。
彼はすぐに探索者たちを襲おうとはしない。もちろん、用済みになれば襲うだろう。

〈アイデア〉に成功すれば、この声が池谷の声とは違うような気がする。なお、これ以降の声は池谷本来のものに戻る。
更にしばらく間をおいて、扉が開かれる。この間に声をかけるなら、「今開けるよ」などと返事が帰ってくる。
開く前に無理に押し入ろうとしても、何かに抑えられているかのようにドアが開かない。
扉を開けた池谷は柔和な笑みを浮かべている。しかし、その言葉にはどこかぎこちないものがある。
彼は探索者達が今日訪れることを知らないため、「急にどうしたんだ?まあ、上がれよ」などといいながら招き入れてくれる。
このことに対して突っ込む場合、忘れていたなどと言って誤魔化そうとする。
池谷の住む部屋は1LDKで、探索者たちはリビングに通される。部屋には机や本棚などがあるが、散らかっている。
もし部屋を調べるなら、三ヶ月ほど人が出入りしていなかったような痕跡が見つかるかもしれない。
〈聞き耳〉に成功した場合、奥の部屋で粘着質な何かが動いているような音がする。池谷にこのことを聞くと、「なんでもない」と話す。
もし、無理に入った場合、中にはショゴス・ロードである中田の半身がいる。その場合、目の前の中田も変貌し襲い掛かってくる。
下記「この会話イベントで彼をあまりにもイラつかせた場合~」の部分を参照。なお、少し覗く程度であれば、暗くてよく見えないが何かが動いているのが分かる。戦闘は起こらない。
池谷との会話では、彼はほとんどのことを適当に答えるか知らないと言う。
逆に、「俺のアルバイトって何か知ってたっけ?」や「この前ものを預けたのはお前だったか?」など、池谷の行動を聞き出そうとする。
情報が得られないと、池谷の笑みが徐々に消えていき、無表情になっていく。
この会話の中で、池谷に「東南電力で働いている」などと発言させ、後の手がかりを示しておくこと。
そうやって池谷と会話を続けていると、探索者のうち一人の携帯電話に池谷のメールアドレスからメールが届く。
内容は短く「助けてくれ」というもの。目の前にいる池谷は携帯電話を触った様子はない。
このメールはニョグダに囚われた池谷がなんとか送ったもの。
彼は家においてある手がかりから、エメラルド小像と自分にたどり着いてくれないかと考えている。
目の前にいる池谷はメールの内容が気になるのか、再び柔和な笑みを浮かべてメールを見るよう促してくる。
探索者がメールを見ようとしない場合、彼は再び無表情になる。〈アイデア〉などで強烈な殺気などを感じさせてもよい。

この会話イベントで彼をあまりにもイラつかせた場合、彼の体は崩れ始め、ショゴス・ロードへと変貌する。
彼は探索者を襲うだろう。なお、彼の体は半分になっているため、ステータスは人間時のものを使用する。
ただし、奥の部屋にもう半分の体があることを忘れてはいけない。ショゴス・ロードとの戦闘に陥った場合、非常に厳しい展開になる。
「目の前にいる池谷の体が崩れ始める。まるで溶けるかのように、彼の体から黒い粘液が漏れ出しているのだ。
玉虫色に光るそれは、まるで一つの意思のもとに動いているかのように集まり始める。もはやそこに池谷の姿はない。
辺りに何かが結合するような粘着質の音が響く。音の元凶である黒い粘液の塊のいたるところに眼が、口が現れる。
人間大にまで成長したそれは、無数の無機質な眼と口をあなたたちに向け、襲い掛かってきた」
ショゴス・ロードを見てSANチェック
1D6/1D20

メールを確認した場合、池谷はどんな内容だったか聞いてくる。
メールを正直に見せた場合、彼は探索者たちが池谷の情報をほとんど持っていないことを確信する。
メールを見せないか、内容をごまかす場合、彼は探索者たちから穏便に情報を聞き出すことは不可能であると考える。
どちらの場合にせよ、池谷は探索者たちを殺害あるいは拷問しようと判断する。
彼はより万全を期すため、奥の部屋を探らせている自分の半身と合流しようと考える。
池谷は「そういえば、見せたいものがあったんだった。あっちの部屋からとってくるから、ここで待っていてくれ。
覗かず、ここで待っていてくれよ」と言い奥の部屋(寝室)へと入っていく。急いでいるようで、扉は完全に閉め切られない。

【池谷の変貌】

このシーンでは、池谷の部屋から一時的に逃げ出すことが正解である。
池谷が奥の部屋に入ってすぐ、部屋の中から粘着質の何かがぶつかるような音が聞こえ始める。
しばらくして、家具か何かが倒れているような音と振動、悪臭が伝わってくる。
部屋を覗いた場合、池谷がショゴス・ロードへと変貌する姿を目撃する。
「部屋の中は暗く、中の様子をはっきりと伺うことはできない。かろうじて、おそらく池谷であろう人の姿と、大きく黒い塊が見える。
僅かに玉虫色の光を放つそれは、抵抗するそぶりを見せない池谷を徐々に飲み込んでゆく。
池谷の体は粘着質な動きをする黒い塊に飲み込まれてゆく。まるで池谷が何者かに捕食されているかのようだが、あなたは気づく。
彼の体の表面に、無数の眼と口が現れていることに。そして、それは黒い塊も同様であることに。
彼の体が黒い粘着質の液体となり、崩れ始める。まるで、元々一つのものであったかのように、池谷と黒い塊は混ざり合わさってゆく。
この光景は捕食などではなく、おぞましい化け物の融合だったのだ」
友人の変貌を見てSANチェック
1/1D3

ここでKPは、更にその光景を見続けるか、ほかの行動をとるか確認すること。
この段階で逃亡することを選択した場合、特にロールを行う必要もなく逃走することが可能である。
逃亡しない場合はショゴス・ロードとの戦闘が開始される。敵はかろうじて冷静さを保っているため、外へ出れば追うのをあきらめる。
DEXの対抗により逃走が可能とする。
「変化はさらに続く。もはや池谷の姿はどこにもなく、あるのはただ黒く大きな塊のような生物である。
融合を終えたそれは、あなた達のいる方へと迫ってくると、扉と壁を突き破り、リビングへと姿を現す。
明りの下に晒されたその姿は、玉虫色に光る黒い泡の塊のようだった。体には無数の眼と口があり、あなた達へ向けられている。
池谷の面影はどこにもないその化け物は、あなた達へ襲い掛かってくる」
ショゴス・ロードを見てSANチェック
1D6/1D20

ショゴス・ロードである中田は、探索者たちを取り逃がしたことに気付くと、もう1度部屋を調べたのちにどこかへと消える。
もし、探索者が家の前で待ち伏せし追跡を試みる場合、彼は人込みや路地裏で顔を変えてしまうため、見失う。

【再訪】

池谷の「助けてくれ」というメールに応えるべく、探索者たちは再び池谷のアパートへと訪れるだろう。
アパートの入り口には鍵がかかっているが、植木鉢の下を調べると鍵が戻されている。
鍵のことを忘れている場合〈アイデア〉などで思い出せても良い。
部屋の中は相変わらず散らかっているが、先ほどよりもひどく感じる。

リビング
〈目星〉に成功することで、机の近くに散らばっているものの中から、手書きのメモが付け加えられた新聞の切り抜きを発見する。
記事は、「東南電力が人事一新」と題されたものであり、内容は東南電力の役員などが一新されたというもの。
写真に写る役員は全員が小太りで大柄、柔和な笑みを浮かべているという特徴がある。
記事の横には池谷の字で「奴らは我々の像を狙っている?」と書かれている。
本棚は荒らされており、いくつかが持ち出されているようだが、何が持ち出されているのかは不明である。

寝室
ベッドやサイドテーブル、クローゼットなどが置かれている。どれもひっくり返っており、大きな力を持つものが無理やり動かしたかのようだ。
〈目星〉に成功するか、サイドテーブルのあたりをじっくりと調べることで、池谷の診察結果を記した書類を見つけられる。
内容は身体検査を行った結果で、日付は1年ほど前である。いくつか異常があったようで、再び検査を受けるよう書かれている。
病院の名前は照口病院で、担当医の名前は大山と記されている。
照口市の住人が〈アイデア〉の2分の1ロールに成功した場合、半年ほど前に患者の情報を流出させ首になった大山幸信という医師がいたことを思い出す。
彼の情報をさらに得る場合、インターネットや図書館、あるいは病院での聞き込みが必要だろう。

【図書館、インターネット】

これまで得た情報から、探索者たちは図書館やインターネットから資料を探そうとするかもしれない。
その場合、得られる情報は以下のとおりである。

東南電力について
この地方一帯の電力供給を担う電力会社。ほかの電力会社に比べて料金が安い。
その理由は、最近建設された新発電所にあると言われている。
東南電力は新エネルギー源の発見に熱心で、南極探索などにも投資していた。
多くの人間は無駄な浪費であるとみていたが、ついに実を結んだのかもしれない。

東南電力に関する新聞記事
東南電力に関する新聞記事は、地元の図書館や新聞社などで多く発見できる。
以下は時系列順で、〈図書館〉ロールに成功すれば1度ですべて発見できる。
1.南極探索へ投資
東南電力は新エネルギー源の発見に熱心で、南極探索などにも投資していた。
2.新エネルギーに関する発電所を建設開始
南極探索と並行して、照口市のはずれに発電所の建築を開始した。
建設を担当するのは庄田建設株式会社。
3.新発電所建設が一時中止
新発電所建設予定地で遺跡が見つかったため、建設が一時中断された。
庄田建設社長は、規模は小さいものの見たことがない様式だと話す。
4.人事を一新
東南電力の役員などが一新された。写真に写る役員は全員が小太りで大柄、柔和な笑みを浮かべている。
5.新発電所建設再開
遺跡の調査が終わり、東南電力の新発電所の建設が再開された。なお、これは異例の速さでの再開である。
どのような遺跡だったのかと言う情報は不自然なほどに存在しない。
関係者である庄田建設社長の話によれば、よくある遺跡で大きな価値はなかったと言う。
6.新発電所が完成
東南電力の新発電所が完成した。
7.東南電力新発電所は大成功
新発電所の効率は凄まじく、東南電力の株価がうなぎ上りになっている。
8.東南電力幹部が連続して行方不明に
東南電力の役員などが連続で行方不明になっている。足取りは全くつかめていない。
事件性は無いとされており、警察による調査は行われていない。
また、東南電力の新発電所では警備員が行方不明になる事件も発生している。

行方不明事件について
東南電力新発電所の警備員が行方不明になっている他、照口市ではここ数か月で何件か行方不明者が出ている。
失踪するような動機もなく、それぞれの事件に関連性は発見されていない。
※行方不明者が最後に目撃されたのは、殆どが新発電所の近くである。警察官や新聞記者であればこのことを知っている。
また、図書館やインターネットを使い時間をかけて調べれば、同様のことに気づける。

庄田建設について
照口市にある建設会社。最近は東南電力の新発電所を建設していた。
少し前に社長が失踪し、新社長に会田という男が就任している。(東南電力の人事一新と同じタイミングである)
新聞には会田の写真が載っている。彼は大柄で小太りの男で、柔和な笑みを浮かべている。
その後は本社の移転や社員の解雇が続き、現在は殆ど業務を行っていない。
※庄田建設もまた、ショゴス・ロードに乗っ取られている。彼らは遺跡を独占するため何人かの人間に成り代わっている。

照口病院について
昔からある病院で、この市で最も大きい。怪しいうわさやよい評判などは無く、これといった特徴が無い。

大山医師について
本名は大山幸信。半年ほど前に、患者の診察結果を持ち出し外部の人間へ販売したため病院を解雇された。
被害者が特に訴えることも無かったため、大事にはなっていない。
大山医師はその後、「極めて人間に近い別種の生物」についての論文を発表したが、見向きもされなかった。
この論文についての情報は出回っていないようだ。

【照口病院】

照口病院で大山幸信の情報を探す場合、看護師や患者から話を聞くとよいだろう。
受付の女性は大山幸信が勤務していたことは認めるが、半年前に退職したと話す。それ以上の情報は話そうとしない。
患者や看護師の中から、口の軽そうな人物を見つけて話を聞けば、大山幸信のよく現れる場所(カフェなど)を教えてくれる。
また、彼は40歳ほどの冴えない男性で金に目がない汚い男だったとも話すかもしれない。

【大山幸信との接触】

大山は昼前にカフェに現れて、夕方ごろに自宅に帰ってゆく。
大山に話しかければ、彼は迷惑そうに対応する。前回の件で懲りているのか、池谷の情報については話そうとしない。
懲りているとはいえ金に汚いのは変わりなく、いくらか払うそぶりを見せながら〈言いくるめ〉などに成功すれば資料を渡すので自宅に来てくれと話す。
そのほかの方法を使った場合も含めて、彼に池谷の情報を話させることを認めさせた場合、大山は自宅で話すと言う。
理由を聞くと、資料と渡すものがあるからだと話す。
大山と上手く交渉できなかった場合、彼を尾行するといった行動も考えられる。
自宅に侵入することができれば、必要な情報が見つかる。
また、大山に質問する場合、彼は以下のことを知っている。
論文について
あまり内容を教えようとしない。交渉技能に成功すれば、自宅で見せると言って案内してくれる。

池谷について
1年ほど前に病院に来た。病気自体は軽い風邪のようですぐ治ったが、彼の白い肌と赤い目に興味を持ち調べさせてもらった。
その結果、我々一般的な人類とは異なる点が見つかった。彼も自分の体質に興味があったようで、何度か検査を行った。

渡すものとは?
池谷が忘れていった財布だ。

池谷の体質について
家で詳しく話す。

クビになった理由について
池谷の資料を欲しがっている男がいて、熱心に頼まれたので売った。高く売れた。男は大柄で小太りの男で笑顔が印象的だった。
しばらくすると何故かそのことがばれてしまい、クビになった。

最近の池谷について
3か月ほど前に一度自分の家に来た。何やら怪我をしていたので治療したが、それ以来は見ていない。
そういえば、2か月ほど前に別の人間にも同じようなことを聞かれた。

別の人間について
池谷と同じように赤い目と白い肌の男だった。少し不気味な男で、名前は確か伊木だったはず。
治療したがその後は知らないと答えるとどこかに行った。しかし、この前家の近くで彼を見かけた気がする。
※伊木は生けるものたちの生き残りで、共に東南電力と戦ってくれる人間を探している。
探索者が池谷のアパートに入ったことも知っており、協力したいと考えている。

【大山幸信の部屋】

大山のアパートに向かう途中、〈目星〉に成功すると遠く離れた人ごみの中からこちらを見ている男に気づく。
ぼんやりとだが、白い肌と赤い目をしている気がする。男はこちらの視線に気づくとすぐに離れてゆく。すぐに人ごみに紛れるため、追跡はできない。
大山は町はずれにあるアパートの一階に住んでいる。
忍び込む場合、〈鍵開け〉や〈機械修理〉の他、鍵の開いている窓から入ることができる。
大山は探索者達を部屋に挙げ、リビングへと案内する。大山は靴の位置や置物の位置を見て「あれ?」などと話す。
詳しく聞けば、物が少し動いたような違和感がすると言う。
これは、窓から伊木が侵入したため。彼は池谷の財布の中に探索者達へのメッセージを残している。
リビングは散らかっており、机の上には新聞や雑誌などが雑多に広がっている。特にこれと言って目につくものは無い。
〈目星〉に成功すれば、窓の鍵が開いていることに気が付く。大山の感じた違和感と合わせて、何者かが侵入したと考えられるだろう。
大山はリビングにある本棚(医学書などが多く入っている)を漁るが、しばらくすると「おかしいな……」と言いながら戻ってくる。
彼は論文や資料が無くなっていると話す。池谷の体質について聞く場合、通常の人間より不要な部分が少なく、まるで造られたようであること。
視力の低さやその他の能力の高さなどから、地下で生活することに向いた人種であると興奮した様子で話す。
「こんな珍しいこと、誰かに話さずにはいられないだろう?」と、自分のした犯罪の言い訳をするかもしれない。
また、大山は池谷の忘れものであると言う財布を渡してくれる。友人なら君たちが返してくれと言うし、そうでないなら売りつけてくる。
大山は一度財布の中身を確認すると、探索者達に渡す。「こんなメモ入ってたっけ?」と呟くが、大して気にはしていないようだ。
財布の中身は至って普通だが、一枚のメモ用紙が入っている。内容は「明日の夜10時半。照口公園に来い」というもの。
※この時点から明日の夜10時半までに、池谷の足取りを追っていたショゴス・ロードである中田が現れ大山を殺害する。
もし、探索者達がこのイベント後も大山をつけていた場合、大山のアパートへと入ってゆく中田の姿を目撃する。
また、翌日探索者達が照口公園に向かう前までに「大山が体を強く打ち死亡していた」というニュースが流れる。
中田は探索者達への警告として、このような殺害方法を取った。

【夜の照口公園】

照口公園は木々に囲まれた公園で、昼間であれば何人かの利用者がいる。
広場のようなものがあるだけの公園だが、木々に囲まれているせいか周りからは見えづらく、夜になると不気味な雰囲気を醸し出す。
しばらくすると伊木が現れる。探索者達の何人かが森に隠れていても伊木は気づかない。
ただし、伊木は大山の家に向かう探索者たちを見ているので、他のやつはどうしたんだ?と聞くかもしれない。
伊木は赤い眼と白い肌の、小柄で神経質そうな男。
伊木は不安そうにあたりを見渡した後、探索者たちに話し始める。
「よく来てくれた。池谷を探している奴らだな?あいつ……いや、我々はかなり危険な状況にある。
我々はとある生物の封印を守り続けてきた一族だ。遙か昔、我々の祖先はある生物――有り得べからざるものを封印した。
そして、やつを封じた結界を維持するため、ある像を作った。その像がある限り封印は続くはずだった。
しかし、困ったことが起きた。像が置かれた遺跡を発見されてしまったのだ。それだけならまだなんとかなった。
だが、奴らは、奴らは我々を……。とにかく、像は奪われ、封印は解けた。もはや我々の一族の生き残りは私と池谷くらいだろう。
頼む、我々を助けてくれ。池谷は数日前、一人で新発電所に向かったようだ。
像は巧妙に隠されているが、我々なら位置がわかる。像が置かれている場所の警備は夜の九時に緩む。明日、私と……」
ここでショゴス・ロードである中田が現れる。彼は公園の排水口などから体を出し、密かに伊木の背後へと現れる。
薄暗い公園の中、彼を発見することは非常に困難である。
もし、監視役のような形で伊木との会話を遠くから見ていた探索者がいる場合、〈目星〉に成功すれば突如人影が現れたことに気づく。
中田はもはや自分がショゴス・ロードであることを隠そうとしておらず、彼の顔以外の部分は黒い不定形の塊のようになっている。
但し、その場に明かりがない場合は、何か黒い服を着ているようにも見える。中田はまず伊木を、その後探索者達を殺害しようと考えている。
突如現れた中田――体格がよく、少し太っていて柔和な笑みを浮かべている男は、体から黒い触手のようなものを伸ばし、伊木を捕える。
そのまま伊木は中田の体の中へと引きずり込まれてゆく。伊木は最後に「逃げろ!庄田建設で図面を……」と叫ぶ。
〈聞き耳〉に成功すれば、飲み込まれる直前、「社長に気をつけろ……」と言う言葉を聞き取ることができる。
中田は「ようやく話したか。まさかあの像がそのような役割を持っていたとは……。まあ、いい。我々を始末していたものは何かわかった。あとはお前らを消して終わりだ」などと話し、探索者達へ襲い掛かってくる。
彼の体の中には伊木がおり、逃れようともがいているように見える。
飲み込まれる伊木を見てSANチェック
0/1D3

【中田との戦闘】

中田との戦闘は非常に厳しい展開になる。おそらく、ショゴス・ロードを倒すことは不可能であり、伊木を救出することもできない。
戦闘開始直後か、少しダメージを与えたあたりで、中田は更に体を変容させ、完全にショゴスの形態を取る。
「目の前にいる男の体が崩れ始める。まるで溶けるかのように、彼の体から黒い粘液が漏れ出しているのだ。
玉虫色に光るそれは、まるで一つの意思のもとに動いているかのように集まり、巨大な塊を形成する。
辺りに何かが結合するような粘着質の音が響く。音の元凶である黒い粘液の塊のいたるところに眼が、口が現れる。
その間から僅かに伊木の姿が覗く。彼の体は焼け爛れており、生きたまま消化されているかのようだった。
伊木を飲み込んだ2mほどの黒い粘着質の怪物は、無数の無機質な眼と口をあなたたちに向け襲い掛かってきた」
ショゴス・ロードを見てSANチェック
1D6/1D20

探索者達が逃亡しようとする場合、中田は最もDEXの低い者を〈組みつき〉(95%)で捕えようとする。
但し、伊木が吸収されているので体が半分ほど吸い込まれるだけで済む。
この戦闘では探索者達を殺害することが目的ではないので、強すぎる攻撃は控えたほうがよいだろう。
ただし、危機感を与えるためにも数ターン、あるいは探索者達のいずれかにダメージを与えるまで戦闘を続ける。
ショゴス・ロードはすでに伊木を飲み込んでいるため、探索者達が逃げようとしない限りは〈組みつき〉を行わない。

【ニョグダの登場】

戦闘中、突如地面が割れ巨大な黒い触肢のようなものが現れる。触肢はその場にいるショゴス・ロード(中田)を捕える。
中田は無数にある口の一つから「馬鹿な!何故ここまで……」と叫びながら地中へと引きずり込まれてゆく。
中田に捕えられている探索者がいる場合、このタイミングで中田の拘束が緩み、抜け出すことができる。
伊木はすでに死亡しているため、抜け出すことはできない。
その後、地面の裂け目は閉じていき、その場に静寂が訪れる。
ニョグダの触肢を見てSANチェック
0/1D3

【ニョグダの触肢】

ニョグダの登場の後、探索者達はニョグダの触肢に襲われる場合がある。
ニョグダが狙うのは探索者達の中で最もAPPが高い者でもよいし、1D100の出目が悪かったものでもよい。
とにかく、探索者の中から1名ターゲットが選ばれる。ターゲットとなったものは、一日に一回程度、屋外にいる際にニョグダの黒い触肢に襲われる。
但し、ニョグダは封印の影響から新発電所から離れるほど力が弱まっていくため、探索者達が攫われることはほとんど無い。
黒い触肢は突如地面を割って現れ、探索者に掴みかかる。〈回避〉に成功すれば触肢を回避することができる。
回避できなかった場合、触肢は探索者を捕え地面に引きずり込もうとする。STR6との対抗ロールに成功すれば触肢から逃れることができる。
STR対抗にはほかの探索者が協力してもよい。STR対抗に失敗した場合、体が地面に空いた穴に無理に引っ張られてゆき、1D3のダメージ。
STR対抗には何度でも挑戦できるが、失敗するたびに1D3ダメージを受ける。
気絶した場合やHPが0になった場合はニョグダにさらわれてしまうが、そうなる前に〈幸運〉などで助けの人間を登場させるべきだろう。
この触肢のSTRは、一晩毎に2ずつ増えてゆく。これはニョグダを封じるエネルギー殻の力が徐々に弱まっているためである。
ニョグダの触肢を見てSANチェック
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【庄田建設】

庄田建設の情報は、図書館やインターネットで手に入れることができる。所在地程度であれば、特にロールの必要も無いだろう。
庄田建設は雑居ビルの一室、3Fを本社としているようで、中に入ると受付嬢である前田が応対してくれる。
探索者達は何かと理由をつけて資料を閲覧しようとするだろうが、前田は驚くほどあっさりと応接室へと案内する。
※彼女は庄田建設社長でショゴス・ロードである会田から、来るものはとにかく通せと言われているからである。
会田はショゴス・ロードである自身の体を利用して、応接室での会話を聞いている。そうして、自分たちを探る者を見つけると始末している。
応接室では再びどのような用件であるかを前田が確認し、すぐに資料室へと案内すると答える。
ただし、探索者達と前田が席を立つタイミングで、応接室の電話が鳴る。電話は会田からのもので、探索者達と話をしたいというもの。
前田は探索者達にその旨を素直に伝える。ここからは、如何に会田からの追及を逃れ、資料室での調査をするかになる。
簡単に想定される方法は、資料室に入る者と応接室に入る者に分かれ、調査する時間を稼ぐというものである。また、後日忍び込んでもよい。
資料室には窓があるため、窓から逃亡させてもよい。
しばらくすると、応接室に大柄で小太りの男が現れる。彼は柔和な笑みを浮かべて、社長の会田ですと挨拶をする。
応接室に現れた会田は、応接室で話していない限り、探索者達がエメラルド小像や池谷について知っているとは思っていない。
何人が訪れているかも正確には把握していないため、何人かが資料室に入っていても気が付かない。
但し、前田に「何人来ている?」と聞くので、あらかじめ前田を〈言いくるめ〉などで口封じしておくか、資料室に連れてゆく必要がある。
会田が席につくと、前田は受付へと戻ってゆく。会田は柔和な笑みを浮かべつつ、どこかぎこちなく話しかけてくる。
何故ここにきたのか、どんな資料が見たかったのかなどを質問したり資料室へ入ろうとしたりする。怪しいと思えば殺害を試みる。
ここで戦闘になった場合、非常に厳しい展開になるため、探索者たちを怯えさせる程度に会話した後は逃がしたほうが良いだろう。
会田が探索者の正体を判断できなかった場合、とりあえずは追おうとしない。
※ただし、資料を見た痕跡や前田から詳しく話を聞くことで、会田は探索者達が何をしているかに気づく。彼はクライマックスで再び登場する。

資料室
資料室には大量の書類が仕舞われた棚がある。
東南電力新発電所の資料を探す場合、〈図書館〉で判定する。
成功した場合はあまり時間をかけずに発見できるが、失敗すると発見までに時間が掛かってしまう。
失敗の場合、応接室でさらに時間を稼ぐ必要が有るだろう。
東南電力新発電所の資料の中から図面を確認すると、10号機(展開によって変化させる)の構造が他と違っていることに気づく。
10号機は何やら張りぼてのような作りで、地下へと続く階段が用意されている。
この確認には時間がかかるため、図面を持ち帰ったり写真に撮ったりする必要があるだろう。

更に、〈図書館〉に成功していた場合は古びた冊子のような物を発見する。
表紙には英語で「Journal of the Royal Antiquities Society」と記されている。斜め読み/研究理解には〈英語〉が必要。
Journal of the Royal Antiquities Society
1912年に出版されたもの。ウィンドロップという人物が持ち帰った石版について本人の論文が掲載されている。
斜め読みに4時間/研究理解に2週間。1D2/1D4の正気度喪失。
研究した場合、〈クトゥルフ神話〉に+4%。〈人類学〉〈オカルト〉〈考古学〉の経験ロール。〈古のものの言語〉(初期値1D6+1%)を獲得。
以下の内容が分かる。
・1912年に出版された「王立遺跡協会報」で、ウィンドロップという人物の論文が掲載されている。
・その内容は、本人がアフリカで見つけた砕けた石板に記されていたルーン文字を翻訳したものである。
・石版は人類が現れる何百万年前に地球上に生息していた「古のもの」によるものである。
・古のものは「ニョグダ」と呼ばれるものをエネルギー殻に封印することに成功した。
・また、エネルギー殻を維持するためのバッテリーのような役目を果たすものとしてエメラルドの小像を作った。
・エメラルドの小像に含まれるエネルギーは膨大だが有限である。
・エメラルドの小像を守るものとして、「生けるものたち」と呼ばれる生物を作った。
・その他、いくつかの古のものの都市の名前やルルイエといった単語を確認できる。

【東南電力新発電所前】

東南電力新発電所はその広い敷地全てが高い塀に囲まれており、入口は一つしかない。
ニョグダの触肢に狙われている探索者がいる場合、ここで一度ニョグダの触肢に襲われる。この場合、ニョグダの触肢のSTRを2増やす。
入口には警備員の入っている小屋がある。中には警備員が一人いるが、あまりやる気はなさそうに見える。
探索者達が近づくと、ここは立ち入り禁止だと声をかけてくる。彼は暇なようであり、探索者達にいくつかの話をする。
彼は新発電所にある穴のことと、警備員の行方不明事件について少し知っている。
「そういえば、この発電所にはでっかい穴が開いててな……。
何やら建物を建てるつもりだったようなんだが、東南電力の社長の交代やらのゴタゴタのせいか取りやめになったんだ。
それで、建築に使われてた道具なんかも倉庫に放り込んで、穴もそのままなんだが……。
あの穴から何かが這いずって出てくるような音を聞いたってやつがいるんだよ。
俺は信じてなかったんだが、穴をよく見てみると確かに何かが這ったような跡があるんだ。それを見に来たのか?」
「同僚も何人か行方不明になってな……。みんな勤務中にいなくなってるんだ。
夜に敷地内の見回りをしている時にいなくなったから、今じゃ全員建物の中に引きこもってる。
本社のやつらも見に来ないし、まあ、大丈夫だろ。そういえば、美男美女ばっかいなくなってたから……次は俺かもな」
発電所の中に入るには、〈登攀〉やロープなどの道具を使ったり、入口の警備員をうまく誘い出したり言いくるめたりする必要がある。

【発電所内部】

発電所の敷地内には人気が無く、辺りは静寂に包まれている。発電機を収めているらしき建物が整然と並んでいるが、稼働音はしない。
入り口近くには倉庫と休憩所のほか、深い穴がある。
それ以外の建物は全て同じ建物のように見え、全てを探索することは時間的に困難なため、庄田建設などで探索の手掛かりを得たほうが良い。
発電所内部でニョグダの触肢による襲撃イベントを起こしてもよいだろう。

倉庫
シャッターで閉ざされているが、シャッターの脇にある扉は鍵がかかっておらず、中に入ることができる。倉庫に警備員はいない。
中には建築車両や機材の他、様々なものが置かれている。〈目星〉に成功することでダイナマイトを10本発見できる。ダイナマイトについては基本ルールブック71Pなどを参照。

休憩所
警備員の仮眠室。中には何人かの警備員がいる。彼らの中には本来見回りを行う予定だったものも含まれている。

深い穴
直径30mほどの急な洞窟のようにも見える大穴が斜めに伸びている。穴の周りには20mほどの何かが這いずったような跡がある。
少し中へと入っていくか、〈目星〉に成功することで警備員のかぶっていた帽子を発見することができる。
穴は暗く先が見えず、どこまで続いているのか全く想像できない。
穴の入口辺りは工事の痕跡がみられるが、少し先は不自然にくりぬかれたかのような穴が続いている。
帽子が落ちていた辺りまで進むと、ニョグダの触肢に狙われている探索者は穴の先から嫌な気配を感じる。
更に先に進む場合、全員が何らかのこの世ならざる気配を感じるだろう。
更に先に進んでいくとニョグダの触肢が現れ、その場にいる探索者全員を引きずり込んでゆく。
建築車両で進んでゆく場合、暗い悪路のため〈重機械操作〉に成功する必要がある。失敗した場合、建築車両は途中で止まってしまう。
その場合、先に進むことは危険だろう。
成功した場合、更に先に進むことができる。
「洞窟は暗く、静寂に包まれている。ここにある音は、あなた達の呼吸音と車両の出す音のみだ。
その音は遠くまで響いており、洞窟の終点を窺い知ることは未だ不可能であると思われた。
しかし、突如として、しつこくまとわりつくような悪臭が辺りに満ち始める。それはむせ返るようなじゃ香の匂いで、吐き気を催させるものだ。
匂いに続き、あなた達の目の前に玉虫色に輝く黒い何かが現れる。それは、何処となく巨大な爬虫類のようにも見えた。
液体とも言えず、個体ともいえない体を持ったそれが、あなた達へと近づいてくる。その姿はまさに、生ける暗黒の塊だった。」
ニョグダを見てSANチェック
1D6/1D20
その場から逃げる場合、〈重機械操作〉に成功すればそのまま穴の入口へと逃げることができる。
失敗した場合、穴の途中で車両が止まってしまう。背後から迫ってきているニョグダはそのまま車両を飲み込み始める。
〈DEX×5〉に成功すれば走って逃げ切れるが、失敗した場合はニョグダの伸ばした触肢が命中してしまう。
〈回避〉で回避できなかった場合、1D10ダメージ。即座に逃げるのであればニョグダはそれ以上追ってこない。
触肢の攻撃で気絶してしまった探索者をその場に放置すれば、ニョグダにさらわれてしまう。
建築車両でニョグダに突撃する場合、〈重機械操作〉で判定する。どちらの場合でも、目の前にいる暗黒の塊に追突することができる。
その衝撃はかなりのものであり、車両は重大なダメージを負う。また、目の前の暗黒の塊と密着しているため、もう1度ぶつかることは不可能である。
ニョグダはひるんでいるので、この隙に逃げることができるだろう。その場合、帰り道で車両が故障してしまうが、ニョグダは追ってこない。
〈重機械操作〉に成功していた場合、地下遺跡でのイベントで出現するニョグダの耐久力が30になっている。
失敗していた場合、ニョグダの耐久力は45になっている。

1~9、11、12号機
コンクリートの箱といったような感じで、窓は無く、入口が一つ用意されている。
中には二人の警備員がおり、〈聞き耳〉で物音を聞くことができる。入り口から中に入ると、警備員に発見され通報される。
無理に中に入っていく場合、稼働していない大型のボイラーを発見できる。
また、他の建物からも警備員が集まってくるだろう。
警備員
STR14 CON14 SIZ14 POW11 DEX10 HP14 DB+1D4
武器
警棒 1D6+db 25%

10号機(他でもよい)
見た目はほかのものと変わりない。〈聞き耳〉をすれば中から二人分の物音が聞こえるが、9時になると聞こえなくなる。
これは、中にいる警備員二人が何か別のこと(トランプやソーシャルゲームなど?)をするために別の部屋にいくためである。
中はシンプルな構造で、入口の先には広めの玄関のようなスペースがあり、右側と正面に扉がある。
右側の扉からは人二人分の、遊んでいるような声が聞こえる。
正面の扉を開けると、中には大型のボイラーが設置されている。しかし、ボイラーは稼働していない。
〈電気修理〉〈機械修理〉などに成功すると、ボイラーは稼働していないが、どこからか電力を生み出していることに気づく。
部屋の隅には階段があり、地下へと続いている。
階段はかなり深くまで続いていて、暗くじめじめとしており、時折生暖かい風が吹く。

【地下遺跡】

SAN値の減少が激しすぎる場合は、日をまたいでいる場合でも恐怖に慣れるルールを適用する。
階段は穴の途中で途切れているが、そこには巨大な地下空間が広がっている。
階段の下は深い穴であり、未だ底を伺うことはできない。
地下空間には奇妙な文様の施された石柱が調和をとりつつ立ち並んでおり、中心には石造りの祭壇が置かれている。
祭壇には25cmほどの丸い窪みがあり、近くには金属製の容器のような物が地面から天井を突き破って配されている。
その容器のガラス戸になっている部分から、グロテスクなエメラルドの小像が見える。
それは25cmほどで、胎児のような姿勢で自分を抱え込んでいる人型の生物の像である。
エメラルド小像を見てSANチェック
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容器の中は空洞で、エメラルド小像はその中で浮遊している。ガラス戸には取っ手がついているが、2本のネジで扉が止められている。
エメラルド小像を取り出すためには、ガラスを割るか2本のネジを外すかする必要があるだろう。
ガラスの耐久力は10。ネジを1本外すためには〈DEX×5〉に成功する必要がある。
エメラルド小像の入った容器に近づくと、地面から巨大な触肢が現れ探索者の一人を捕まえ、階段下の穴からニョグダが現れる。
※捕える探索者は、この場で活躍できなさそうな者にする。人数が足りない場合は捕えなくてもよい。また、〈回避〉に挑戦できてもよい。
「地面が大きく割れ、巨大な触肢が現れる。それはあなた達が何度か見た触肢ではあったが、明らかに大きさが違っていた。
その触肢は○○を捕え、地面に引きずり込もうとする。同時に、しつこくまとわりつくような悪臭が辺りに満ち始める。
それはむせ返るようなじゃ香の匂いで、吐き気を催させるものだ。匂いに続き、階段下の穴から玉虫色に輝く黒い生物が現れる。
何処となく巨大な爬虫類のようにも見えるそれは、液体ともいえず、個体ともいえない、ゼラチン状の体を持っていた。
あなた達へと近づいてくるその怪物は、まさしく、生ける暗黒の塊だった。」
ニョグダを見てSANチェック
1D6/1D20
ニョグダとの戦闘開始。触肢はニョグダと同じタイミングで行動する。触肢に掴まれている探索者は、STR60との対抗ロールを行う。
失敗した場合は1D6ポイントのダメージ。ニョグダは探索者達を触肢で攻撃する。どのような攻撃を何人に行うかはKPの判断による。
最初のラウンドは探索者一人を捕まえたことで行動終了としてもよい。
探索者達はガラスにダメージを与えるか、ネジを外すか、ニョグダにダイナマイトを投げつけるかの行動を取るだろう。
ダイナマイトでニョグダを撃退しようとする場合、ニョグダのSIZが80なので、投擲の成功率に+25する。
ダイナマイトをニョグダに命中させた場合、ニョグダは怯み、ニョグダの次の攻撃の成功率が半減する。
戦闘は、金属製の容器からエメラルド小像を取り出し祭壇に戻すか、ニョグダの耐久力を0にすると終了する。
耐久力が0になると、ニョグダは階段の下にある穴へと去ってゆく。
エメラルド小像を祭壇に戻すと、緑色をした半透明の壁のような物が全方位から迫ってくる。それはまるで、巨大な球が縮んでいるかのようだ。
緑色の壁はニョグダのみを捕え、そのまま縮小してゆく。ニョグダは階段の下にある穴に押し込まれるようにして消えてゆく。
ニョグダの消えた穴にダイナマイトを投げ込んでも、ニョグダまでダイナマイトが届くことは無い。
地下遺跡でダイナマイトを使った場合、地下遺跡の天井が徐々に崩れそうになってゆく。

【会田との再会】

探索者達が再び階段を上り、地上を目指していると階段の上から警備員の服を着た男(庄田建設の会田)が降りてくる。
「男は、小太りで、大柄で、その顔に柔和な笑みを浮かべていた。彼の体は沸騰しているかのように絶えず脈打っている。
粘着質な音と共に、彼の口から声が漏れる。それは、一人の人間の声であるにも関わらず、幾重にも重なって聞こえた。
彼の体は黒く変色し、泡だった全身に口や眼が形成されている。それらすべての口から、同じ言葉が漏れているのだ。
「よくここまでたどり着いたな。人間には学ばされることばかりだ。だが……もう終わりだ」

(以前に会田を見ている場合)
かろうじて原形を残していた顔が崩れる。崩れてゆくその顔を、あなた達は見たことがある。庄田建設の会田だ。

あなた達の目の前にいる者は、もはや人間の姿をしていない。それは玉虫色に輝く、2mほどの黒い泡だった原形質の塊だ」
ショゴス・ロードを見てSANチェック
1D6/1D20
会田との戦闘開始。この戦闘を切り抜けるためには、ダイナマイトで会田を殺害するか、再びニョグダを解放するしかないだろう。
ニョグダを解放する場合、エメラルド小像を祭壇からどかす必要がある。
会田から逃れてエメラルド小像へと向かう場合、会田とのDEX対抗ロールに勝利する必要がある。
囮になる者がいる場合、DEX対抗ロールを行わなくてもよい。階段を下り、エメラルド小像を祭壇から取り外すには2Rかかる。
エメラルド小像を取ると、エネルギ―殻による封印が弱まり、ニョグダが再び解放される。
解放されたニョグダは会田の体を掴み、地面へと引きずり込んでゆく。直ちにエメラルド小像を戻さなければ、次に探索者達が狙われる。
会田をダイナマイトで倒した場合、その衝撃で地下遺跡が崩れ始める。脱出するためにはDEX×5のロールに成功する必要がある。
失敗した場合、1D3ポイントのダメージを受ける。このロールには何度でも挑戦できる。

【エンド】

①ニョグダを使い会田を倒した場合
外に出ると、今までの出来事が嘘だったかのように辺りは静寂に包まれている。建物は暗く、停電になっている。
10号機入口近くの休憩室の中には警備員もおらず、服のみが落ちている。
発電所の入口の警備員は居眠りをしているようで、簡単に脱出することができる。
もし、池谷を探すのであれば、池谷は深い穴の奥にいる。ニョグダはもはやいないため、時間はかかるが安全に奥へと進んでゆける。
奥には池谷と衰弱した様子の2名の警備員、そしていくつもの死体がある。池谷は探索者達に深い感謝を示すだろう。
池谷を探さず脱出した場合、後日東南電力の地下からいくつもの死体と1名の生存者を発見したというニュースが流れる。
また、池谷からお礼の連絡がある。
彼に事のあらましを聞くと、自分はエメラルド小像の封印を守る一族だったこと、突然ショゴス・ロードたちの襲撃を受けたこと。
その場は逃げ切ったが、解放された有り得べからざるものとショゴス・ロードに追われていたこと。
有り得べからざるものはショゴス・ロードを狙っていたので、奴らの数が減った隙に発電所へ侵入したがニョグダに捕えられてしまったこと。
ショゴス・ロードのみを狙っていたのか、攫ってきたものの中でも関係のない者は放置されていたこと。
自分は一族の特殊な体質のせいか、数日食べずに地下にいても衰弱することは無かったことなどを教えてくれる。

②ダイナマイトを使い会田を倒した場合
命からがら脱出し、停電のせいかくらい建物を抜けると、地割れが起こり、地面が陥没しかけている。
なんとか地割れから逃れた探索者達だったが、発電所の多くが地面に飲み込まれてしまう。
騒ぎを聞きつけた警備員が探索者達を取り囲み、警察や消防もやってくる。探索者達は言い訳に苦労するだろう。
ただし、殆どの場合は会田の仕業だと片付けられる。
後日、穴から救出された池谷からお礼の連絡がある。
彼に事のあらましを聞くと、自分はエメラルド小像の封印を守る一族だったこと、突然ショゴス・ロードたちの襲撃を受けたこと。
その場は逃げ切ったが、解放された有り得べからざるものとショゴス・ロードに追われていたこと。
有り得べからざるものはショゴス・ロードを狙っていたので、奴らの数が減った隙に発電所へ侵入したが捕えられてしまったこと。
ショゴス・ロードのみを狙っていたのか、攫ってきたものの中でも関係のない者は放置されていたことなどを教えてくれる。
自分は一族の特殊な体質のせいか、数日食べずに地下にいても衰弱することは無かったことなどを教えてくれる。

共通
どちらのエンドでも、停止していた旧発電所が稼働し、停電はしばらくすると復旧する。
東南電力からあの化け物たちはいなくなり、健全な企業に戻ってゆくだろう。庄田建設も東南電力のもとで再建されてゆく。

シナリオクリアで1D20の正気度回復。会田やニョグダを撃退した場合、それぞれ追加で1D6の回復。
深い穴を探索し、警備員2名を救った場合は1D6の正気度回復。