忌まわしき子ら - Cthulhu Scenario Storage|クトゥルフシナリオストレージ

忌まわしき子ら

【このシナリオについて】

シナリオ傾向:シティ、現代、ソロシナリオ
推奨人数:1人
戦闘:場合によっては有り
推定プレイ時間:1~2時間
難易度:ふつう
システム:クトゥルフ神話TRPG

【ハンドアウト】


このシナリオは1人用のシナリオとして作成されている。
探索者は、女性警察官である必要がある。刑事であることが望ましい。

【あらすじ、舞台設定】


刑事である探索者は、女性の失踪事件を調査することになる。調査を続けてゆく中、探索者はこの事件が連続失踪事件であることに気づく。
更に、同時に発生していた強姦事件との関連性、複数の犯人が潜む洞窟などが判明してゆく。
探索者は、失踪した女性を取り戻し、無事に帰ってくることができるのか?

舞台は中田町。中田町の近くには中田山という山があり、山にある洞窟にゾ・トゥルミ=ゴが移住してきたことからシナリオが始まる。
彼らは時折中田町に現れては、女性を強姦し、可能であれば誘拐していた。
これらの事件は強姦事件と失踪事件の二つに分かれて調査が進められていた。
探索者は女性の失踪事件を調べていく中で、ゾ・トゥルミ=ゴの住む洞窟へと向かっていくことになる。

【資料】


ゾ・トゥルミ=ゴ(マレウス・モンストロルム64P)
青白く滑らかな肌、水かきのある手、サナダムシのような頭といった特徴がある。
トンネル、穴倉、洞窟などといった地下に住んでいる。
暗くなってからしか外に出てこようとしない。
彼らは攻撃的で冷酷な種族であり、生殖器官が無いにもかかわらず人間の女性を妊娠させる。
男性のゾ・トゥルミ=ゴは奇妙な自慰行為で精液を作り出し、人間の女性を襲って妊娠させる。
STR15 CON17 SIZ13 INT11 POW10 DEX11 HP15 DB+1D4 SANチェック0/1D6
武器
かぎ爪 30%、ダメージ1D6+db
噛みつき 25%、ダメージ1D6
装甲
1ポイントのゴム状の皮膚
技能
隠れる70% 跳躍55% 聞き耳75% 忍び歩き80%
※かぎ爪が成功した場合、噛みつきを行う。
※彼らは2体から10体以上の集団になって攻撃したり略奪したりする。
※こん棒や刃物を使う場合もある。

NPC
松本 忠弘
年齢は45歳。少し厳しい性格の男だが、誠実で職務に対する熱意もある。
探索者の上司で、今回の事件の調査を命じてくる。

玉田 政治
探索者と同期。探索者と同じ刑事部に所属している。
根はまじめだが、少し軽薄な性格。連続強姦事件の調査を任されている。
妹がおり、大事にしている。また、探索者のことを何かと気にかけてくる。
STR13 CON14 POW12 DEX10 APP12 SIZ12 INT13 EDU15 HP13 MP12 SAN60アイデア60 幸運65 知識75
技能
戦闘
拳銃60
探索
応急手当60 聞き耳60 追跡50 目星50
行動
運転60 機械修理40
交渉
言いくるめ50 説得50
知識
心理学50 法律60 歴史40
武器
S&W M37 エアーウェイト 20% 1D10 15m 2回攻撃 5発 故障00

MAP
洞窟 PL用

洞窟 KP用


【導入】


探索者は上司である松本警部から、近頃発生している失踪事件の調査を命じられる。
失踪事件の内容は以下の通り。
・既に3名が失踪している。
・失踪したのは全てこの町に住む若い女性。
・今のところ、目撃者は確認できていない。
・家族・友人などの証言から、夜遅くに失踪したと思われる。
また、失踪した3名の名前と関係者を教えてもらえる。

探索者が調査に向かおうとしたところで、同僚の玉田政治が話しかけてくる。
探索者がどんな命令をされたのか、自分がどういった事件を調査しているのか、お互いがんばろうなどといった会話をする。

【事件の調査】


失踪者は3名。2名分の聞き込みや調査を行った時点でイベント、玉田政治からの相談へ。
また、玉田政治からの相談イベント後か、3名分の聞き込みを終えたあたりで夜になり、イベントが発生する。犯人との接触へ。
1人目 小野 証子
21歳の女子大生。失踪に気づいたのは彼氏。一週間ほど前から行方不明。
町内のアパートで彼氏と同棲していた。アパートに向かえば彼氏の証言を聞くことができる。
彼氏は内田祐司という大学生。彼女が何の前触れもなく帰ってこなくなったので通報した。
失踪の前日、彼女は友人と二人で遊びに行っていた。友人の名前は新沼美砂。連絡先を教えてもらえる。
新沼美砂の証言
小野とは大学の同級生。新沼は少し気分を悪そうにしている。
小野のことがどうにも気にかかって気分が優れないのだと話す。
小野が失踪した日はショッピングに向かった後、居酒屋で酒を飲んでいた。
彼女とは中田駅の前で別れた。続けて、新沼は何かを話そうとするが口を閉じる。
〈心理学〉や〈目星〉に成功すると、何か隠し事をしていることが分かる。
何らかの交渉技能か、ロールプレイによって情報を引き出せる。
彼女は、酔っぱらった小野の様子が心配になり小野を追ってアパートへと向かったという。
そこで、小野が急に路地裏へと引っ張られる光景を目撃した。
あわてて路地裏へと向かったところ、そこには倒れている小野と、4つの赤い光が見えた。
そのあとはよく覚えていない。気づくと1時間ほど経っていて、小野はいなかった。
話しても信じてもらえないと思い、誰にも言っていなかった。

新沼と小野は二人組のゾ・トゥルミ=ゴに遭遇し、レイプされている。
小野はそのまま洞窟へと連れ去られたが、新沼は連れ去られなかった。
新沼はゾ・トゥルミ=ゴの子を孕んでおり、体調が悪いのはそのためである。(妊娠一週間で症状が出るのは、ゾ・トゥルミ=ゴの子のためとする)

2人目 有田 和代
25歳のOL。市外の会社で事務員をしている。3日前から行方不明。失踪に気づいたのは両親。
彼女は中田町にある一軒家で両親とともに暮らしていた。両親は一人娘である和代を非常に心配している。
探索者が有田家へと向かえば、両親は熱心に協力してくれる。
ただし、彼らはほとんど情報を持っていない。
知っていることは、和代が会社の飲み会で帰宅が遅れると話したのを最後に失踪したことのみである。
両親たちが忘れている情報として、娘の携帯電話をGPSで追跡できるようにしているという情報がある。
このことは、探索者たちがGPSに関連するような言葉を発した場合のみ、思い出すことができる。
GPSのことを思い出した場合、両親は慣れない手つきでパソコンを操作すると、娘の携帯電話の位置を発見する。
そこは中田町のはずれ、中田山付近である。そこには有田和代のものと思われる携帯電話が道路の端に転がっている。
携帯電話には、襲われる中撮影された一枚の写真が入っている。写真には4つの赤い光が写っている。
その光は生物の眼のようにも見えるが、それ以外の情報を得ることはできない。
その場で〈追跡〉に成功すれば、2人以上の大きな足跡が山の方向へと向かっていることが分かる。
しかし、山の中へと入ったあたりで足跡が消えており、どこに向かったのかはわからない。

中田山について調査する場合、「中田山近隣への聞き込み」を参照。

彼女の会社に連絡すれば、飲み会の際に駅まで同行していた人物とアポが取れる。
その人物の名前は山畑浩二。彼は飲み会のあと、会場から駅まで有田とともにいた。
有田は飲み会の最中はおとなしかったものの、かなり酔っていたようで帰り道では色々愚痴のようなものをいっていたと話す。
そのまま駅で別れて、その後の行方は知らない。駅員などに協力を取り付けた場合、カメラなどから中田町の駅で降りていることが分かる。
愚痴について詳しく聞いた場合、山畑はその内容についても話してくれる。
愚痴は、コンサートのチケットが取れなかっただとか、両親は私を心配しすぎだ、携帯の契約でトラブルがあったといった内容。
ここまで話すと、山畑は思い出したように、そういえば、有田は両親に携帯電話のGPS追跡をかけられていたと話す。

3人目 井田 智恵
29歳の主婦。2日前から行方不明。失踪に気づいたのは夫の井田勇人。
井田夫婦は中田山近くにあるマンションの一室に住んでいる。
失踪当日は雨が降っており、傘を忘れた夫のために駅まで向かっていたが、ついに駅に現れることがなかったという。
夫は自分が傘を忘れたせいで事件に巻き込まれたと涙ながらに語っており、どうか妻を見つけてくれと頼み込んでくる。
続けて、彼は探索者に錠剤を渡してくる。これは妻の持病の薬で、3日に1度服用する必要があるのだと話す。
彼によると、妻は今日この薬を服用する必要がある。命にかかわる病気なので、今日か、最悪明日には服用しなければならない。
※シナリオ開始日の翌日の夜までに薬を届けられなかった場合、井田智恵は死亡する。
彼は妻が自宅に残していた留守番電話を聞かせてくれる。焦っていて掛けるところを間違えたのだろうとも話す。
留守番電話には、あなた!助けて!といった女性の悲痛な叫び声のほか、唸り声やいびきのような独特の音が入っている。
彼は妻の失踪についてこれ以上の情報を持っていないが、中田山の近隣に住んでいる。
何か奇妙なことがなかったかなどと尋ねた場合、「中田山近隣への聞き込み」の情報を話す。探索開始の翌日の場合は玉田が訪ねてきていたことにしてもよい。

中田山近隣への聞き込み
ゾ・トゥルミ=ゴは中田山にある洞窟に潜んでいる。この洞窟は巧妙に隠蔽されており、現段階では発見できない。
ただし、中田山の近隣住民はゾ・トゥルミ=ゴの存在をわずかに感じ取っている。
また、〈オカルト〉やインターネットでの〈図書館〉に成功した場合、近頃ネットなどで中田山の近くで何らかのUMAの唸り声や赤い瞳を見たと話題になっていることを知っている。
近隣の住民たちは、夜中に2つの赤い光を見たという話や、いびきのような音がどこからともなく聞こえてくる、近頃は盗みが多いといった話をする。
農家や商店などに話を聞けば、作物や商品が盗まれていると話す。
警察で事件の資料を探した場合、ここ1か月でそういった事件が増加している事、指紋などの手がかりが一切ないことが分かる。

【玉田政治からの相談】


このイベントの後、犯人との接触イベントへと続く。犯人との接触イベントは夜に起きるイベントのため、時間を調整すること。
失踪者の調査を2人分ほど終わらせたところで、玉田から電話がかかってくる。
その内容は、自分の調査している強姦事件の被害者から話を聞きたいのだが、かなりのトラウマを持っているようで話が聞けないというもの。
女性である探索者であればうまく話を聞き出せるのではないかと玉田は考えており、協力を頼んでくる。
その代わりに、探索者の事件の調査を手伝うだとか、コーヒーや食事をおごるからなどと話す。
玉田に協力する場合、警察署で待ち合わせすることになる。
玉田は探索者と警察署で待ち合わせすると、中田町内にあるアパートへと向かう。
その道すがら、玉田は詳しい事情を探索者に話す。
自分の調査している強姦事件の調査が行き詰ったこと。目撃情報もなく、唯一の情報源である被害者の聴取もうまく進んでいないこと。
女性である探索者なら何か話を聞けないかと考えている事などを話す。
アパートに到着すると、玉田がチャイムを鳴らす。すると、中からやつれた様子の女性が出てくる。
玉田は女性に事情を説明すると、探索者を紹介して中へと入ってゆく。
中にいる女性は柴川友里。21歳の大学生で、中田町で一人暮らしをしている。
彼女は4日前の夜、近くのコンビニへと出かけたところをゾ・トゥルミ=ゴに襲われている。
しかし、彼女は幸運にも誘拐されず、その場に残された。
彼女はレイプのトラウマからびくびくと不安そうにしている。
〈精神分析〉や〈信用〉などに成功するか、優しい言葉をかけることで彼女を落ち着かせることができる。
落ち着くと、柴川は事件の様子について話し始める。
夜、コンビニへと向かって人気のない道を歩いていると、何者かの視線を感じたこと。
振り向いたところ、路地裏から赤く光る眼がこちらを向いていたこと。
怖くなり駈け出そうとしたが、背の高い何かにぶつかり転んでしまったこと。
ここまで話すと、柴川は頭を抱えて震え始める。彼女を落ち着かせるためには、適切な技能が必要。
落ち着かせることができた場合、柴川は何とか声を絞り出すようにして続きを話す。
「私を襲ったのは……二人組でした。赤い目が私を見つめていて……押さえつけられて動けなくて……。
いびきのような唸り声をあげて手を伸ばしてきたんです……それから……それから……」
ここまで話すと、彼女は今度こそ限界だといった様子で話をやめる。
玉田は、ご協力ありがとうございます。必ず犯人を見つけます。と女性に声をかけると、探索者とともに出ていこうとする。
外に出ると、時刻は夜になっている。玉田は探索者にお礼を言うと、自宅へと帰ってゆく。
探索者が玉田に自分の事件との関連性を教えた場合、彼は興味を持った様子で今日は遅いのでまた明日話そうと言う。
玉田に送ってもらうように頼んだ場合、妹を迎えに行くと言って断られる。
交渉技能などを使い、どうしてもと頼んだ場合は同行してくれる。

【犯人との接触】


暗い夜道を歩いていると、遠くにコンビニが見えてくる。
〈目星〉か〈聞き耳〉のどちらか高い方に成功すると、探索者の前方、暗い路地裏のあたりに気配を感じる。
気配を察知し迂回した場合は、何も起こらない。警戒するなどしていた場合、路地裏から何者かの手が伸びてくることに気付く。
失敗した場合、探索者が路地裏の前に差し掛かったあたりで唐突に肩をつかまれる。
「路地裏に、4つの赤い光が横並びに浮かんでいる。ビーズのようにも見えるそれは、ぬらぬらとした輝きを放っている。
それは眼だ。暗がりに浮かぶ眼の持ち主が2人いて、一人があなたに手を伸ばしている。
その手はヒトデのような形で、ゴムのような質感をしている。独特のいびきのような類鼾音があたりに響く。
暗がりの中、全貌の見えぬその化け物は、明らかにあなたに敵意を向けていた」
ゾ・トゥルミ=ゴと接触しSANチェック
0/1D3
ゾ・トゥルミ=ゴは暗がりにいるため、その全貌を見ることはできない。
探索者にわかるのは、腕と眼のみである。懐中電灯などを持っていた場合、SANチェックのショックで取り落としたことにする。
2体のゾ・トゥルミ=ゴと接触した場合は戦闘開始。戦闘はゾ・トゥルミ=ゴにダメージを与えるか、探索者が明るいところまで逃げると終了する。
ゾ・トゥルミ=ゴは独特のいびきのような音を鳴らしながら襲い掛かってくる。あたりにはいつの間にか酸味のある牛乳のようなにおいが漂っている。
玉田がその場にいる場合、彼はこぶしで戦闘に参加する。
明るいところまで逃げる場合、ゾ・トゥルミ=ゴに捕まれていなければDEX6との対抗。捕まれていればSTR8と対抗し振りほどく必要がある。
攻撃する場合、捕まれていることに対するペナルティは存在しない。懐中電灯を拾うなどして照らした場合もゾ・トゥルミ=ゴは逃げてゆく。
逃げ去るゾ・トゥルミ=ゴの後ろ姿はぼろきれを着た長身の人間のように見える。
探索者が死亡しかけた場合は、玉田を登場させ発砲させるなどして助けても良い。

【玉田の失踪】


翌日の朝、玉田は警察署に姿を見せない。連絡も取れず、自宅に連絡しても誰も出ない。
ほかの同僚に聞いた場合、妹の姿が見えないので探してくると連絡があったと教えてもらえる。
玉田は妹を迎えに行き、ともに自宅へと戻った。しかし、翌朝には妹の姿がなく、そのまま捜査へと向かった。
探索者が昨日のイベントで玉田の助けを借りた場合は、妹が迎えに行ってもおらず、そのまま捜索へと向かったことにしてもよい。
その後、玉田は柴川のもとへ聞き込みへ行き、詳しく話を聞いたうえで中田山が怪しいと判断する。
中田山へ向かった玉田は山を必死の思いで探索し、ゾ・トゥルミ=ゴの洞窟を発見する。
玉田が洞窟に突入するのは今晩。今晩中に洞窟へと向かえなければ、玉田は単独で洞窟に突入し死亡する。

【洞窟を探す】


探索者たちは次に、ゾ・トゥルミ=ゴの住む洞窟を見つける必要がある。
ゾ・トゥルミ=ゴ達は探索者や玉田の捜査の影を感じ取っており、別の場所へと移り住もうとしている。
そのため、引っ越しの準備を行っていたり、痕跡の始末が適当になっており、本日以降は巧妙に隠蔽された洞窟を発見できる可能性がある。
洞窟を発見するための調査としては、玉田の足跡を追うことが適当だろう。

玉田は柴川や中田山の近隣住人にそれぞれ聞き込みを行っている。彼らの証言をもとに、玉田が中田山へと向かったことがわかるだろう。
1日が立ち落ち着きを取り戻した柴川は、自分が襲われた夜のことについてさらに詳しく話してくれる。
コンビニへと向かう路地裏で2人組に襲われたが、偶然車が通りかかり2人組が逃げていったこと。
その2人組は長身で、赤い目をしていたこと、ゴムのような質感の手で触れてきたこと、酸味のある牛乳のようなにおいがしたこと。
逃げていった方向は、中田山の方向だったことなどを教えてもらえる。
中田山の近くの住民からは、玉田という刑事が何かを探していたことや、山道のほうへと向かっていったことを教えてもらえる。
山へと入ってゆく道のあたりで、昨日はなかった足跡を発見する。
それは大きな足跡で、人間の素足によるものに見えるが、水かきのようなものがついている。
〈目星〉に成功すれば、その中から人間の靴の後を発見する。〈追跡〉でその足跡を追うことができる。
追跡に失敗した場合でも、足跡が山道を進んでいっていることが分かる。ただし、山道の途中からは落ち葉などが積もっており、足跡の判断はできない。
そのまま山道を進んでいくと、山壁に洞窟を発見する。洞窟を発見するタイミングによって、洞窟の様子に変化がある。
なお、洞窟にいるゾ・トゥルミ=ゴ10名のうち、8名は夕方ごろに洞窟を出てゆき、夜遅くに帰ってくる。
1.日没直後
日没直後に洞窟へとたどり着くためには、寄り道せず玉田の足跡を追う必要がある。
つまり、柴川と中田山近隣での聞き込みをした後すぐ、〈追跡〉に成功し足跡の追跡を行い洞窟を発見した場合である。
もしくは、柴川と中田山近隣での聞き込みどちらかを行わず、〈追跡〉技能無しで玉田を追った場合である。
夕方に洞窟にたどり着いた場合、洞窟近くの茂みに玉田がいる。
彼は探索者に気付くと、妹が消えたことと、この奥におそらく犯行グループがいること、今から突入することを伝える。
警察の応援を呼ぶ場合、応援の到着までは1時間ほどかかる。玉田は応援をまたず洞窟へと突入する。
玉田1人で洞窟に行かせた場合、玉田は洞窟の奥で死亡する。また、玉田を突入させ自分は待機していた場合、帰ってきたゾ・トゥルミ=ゴ8名と遭遇する。

2.夜
柴川と中田山近隣での聞き込みを行い、〈追跡〉に失敗した場合、もしくは柴川と中田山近隣での聞き込みに加えもう1か所で聞き込みをした場合夜に到着する。
または柴川と中田山での聞き込みのほか、2か所で聞き込みをし〈追跡〉に成功した場合。
洞窟の周りに人の気配はない。〈聞き耳〉に成功するか、洞窟に足を踏み入れることで奥で何かが暴れている音がすることに気付く。
奥には玉田がおり、ゾ・トゥルミ=ゴと戦闘を行っているためである。

3.真夜中
上記のどちらにも当てはまらないが、洞窟を目指し探索を進めていた場合、深夜に洞窟に到着する。
辺りは静寂に包まれているが、しばらくするとゾ・トゥルミ=ゴ達が帰ってくる。玉田は洞窟の奥で死亡している。
また、薬を飲めなかった井田智恵が死亡している。

4.翌日以降
洞窟には玉田の死体以外何も残っていない。犯人と失踪者たちの行方は知れず、事件は迷宮入りとなった。シナリオエンド。

【洞窟】


洞窟の周りには大きな足跡がいくつもある。それはどれも、水かきのようなものがついた足跡である。
洞窟は深く伸びている。内部は暗く、明りはない。明りがない場合、技能にマイナス補正をかけてもよい。

夕方に到着した場合は、食糧庫と監禁室にゾ・トゥルミ=ゴがいる。
食糧庫のゾ・トゥルミ=ゴは探索者が〈忍び歩き〉などを使用し足音を消さなかった場合、食糧庫の壺に〈隠れる〉を試みる。
成功した場合、食糧庫で〈目星〉に成功しない限り発見することができない。〈隠れる〉に成功したゾ・トゥルミ=ゴは不意打ちを狙う。
失敗した場合、食糧庫から飛び出し襲い掛かってくる。
一方のゾ・トゥルミ=ゴと戦闘を開始した場合、もう一方のゾ・トゥルミ=ゴが気付き襲い掛かってくる可能性がある。
1Rごとにゾ・トルゥミ=ゴの〈聞き耳〉で判定し、成功すれば駆けつけてくる。
その場合、ゾ・トゥルミ=ゴの〈忍び歩き〉で判定する。成功した場合、探索者が〈聞き耳〉に成功しない限りは不意打ちを受ける。
食糧庫に潜むゾ・トゥルミ=ゴは、展開によってはそのまま隠れさせていた方が面白いかもしれない。

夜に到着した場合、洞窟の奥、監禁室から銃声や何かが暴れている音が聞こえてくる。
その場に駆けつけると、1体のゾ・トゥルミ=ゴの死体と、もう1体のゾ・トゥルミ=ゴと戦闘する玉田がいる。
ゾ・トゥルミ=ゴとの戦闘開始。玉田の拳銃には弾が2発残っている。玉田の残りHPは7とする。

真夜中に到着した場合、洞窟の中は静寂に包まれている。
〈聞き耳〉に成功すれば、奥から僅かな人間の息遣いを聞き取ることができる。
玉田は監禁室でゾ・トゥルミ=ゴ2体と相打ちになり死亡している。また、部屋を2つ探索するか、監禁室で女性たちと少し会話したところでゾ・トゥルミ=ゴが帰ってくる。

展開上の前後はあるが、探索者たちはゾ・トゥルミ=ゴと遭遇するだろう。
その場合はSANチェックを行う。
「そのこの世ならざる生物の顔には、恐ろしいほどに表情がなかった。
サナダムシのような形をした青白く滑らかな頭に、赤いビーズのような瞳と、海底生物の吸盤のような口がついている。
あなたは唯一、その生物の瞳から敵意を感じ取ることができた」
ゾ・トゥルミ=ゴと遭遇しSANチェック
0/1D6

【洞窟内部】


食糧庫
中には様々な食糧がある。既成の食料品や農作物など。
そのほか、動物の肉がつるしてあったり、壺の中に保存食があったりしてある。
およそ10人ほどの集団の食糧ではないかと思われる。〈目星〉に成功すれば、食糧が今日中にいくつも運び出されている形跡を見つける。

寝室
粗末な布が敷かれており、寝室のようになっている。
寝床は10人分ある。また、こん棒や刃物などの武器が置いてあるが、刃物の質はよいものではない。
〈目星〉に成功した場合、質の良い刃物を見つけたことにしても良い。

監禁室
中には4名の女性がいる。全員が全裸で、衰弱しきった状態で、壁に縛り付けられている。
部屋の中には拘束のためのロープのほか、壁に杭がいくつもある。その杭のうち4つにロープが結び付けられており、女性が拘束されている。
そのほかには、何名分もの女性の衣服が部屋の隅にロープとともに積まれている。
彼女らは失踪した3名と、玉田の妹。失踪した3名は意識は朦朧としており、会話はできない。(井田が死亡している場合は2名)
玉田の妹は声をかけると意識を取り戻す。意識を取り戻した彼女は、探索者に奴らが戻ってくるのですぐここから逃げるか隠れるように言うだろう。
真夜中に到着していた場合は、ここで次のイベント。「救援」へ。
玉田の妹からは、洞窟の事情をいくつか聞くことができる。
・この洞窟には10名くらいの化け物がいる。
・彼らは人間とは思えない見た目をしている。ヒトデのような手や、吸盤のような口がある。
・路地裏で彼らに掴み掛られ、抵抗したが気絶させられ気付いたらここにいた。
・彼らは私たちを襲ってくる。私はまだ襲われていないが、ほかの女性は何度も襲われていた。
・彼らは洞窟内のものを色々と外に運び出している。
・他にも何人か女性がいたが、先ほど連れ出されていった。
・他の女の人に聞いたところ、彼らは夜になると集団で出ていき、数時間すると帰ってくるらしい。若い女性を連れ帰ってくることもある。

玉田の妹との会話からしばらくすると、ゾ・トゥルミ=ゴが帰ってくる。〈聞き耳〉に成功すれば彼らの足音をその場から聞けてもよい。
探索者たちはおそらく警察の応援を呼ぶ必要があるだろう。応援の到着まで、探索者たちはゾ・トゥルミ=ゴの眼を逃れ洞窟内に隠れる必要がある。
玉田の妹を隠さなかった場合、彼女はレイプされ妊娠する。玉田がいる場合は妹を隠そうとする。

【救援】


警察の応援の到着までは1時間かかる。洞窟に到着したタイミングによって、洞窟内で取れる行動に変化がある。
1.夕方に洞窟に到着した
十分に隠れる場所や対処法を探す時間がある。ただし、入口に近づくと何名もの足音が聞こえてくる。
これはゾ・トゥルミ=ゴによるものであり、入口から出ていこうとするとゾ・トゥルミ=ゴに遭遇する。

2.夜に洞窟に到着した
ゾ・トゥルミ=ゴは入口と食糧庫の半ばあたりにいる。それほど時間はないが、それぞれの部屋を1度調べる程度の余裕はある。

3.真夜中に洞窟に到着した
時間はない。ゾ・トゥルミ=ゴは直に洞窟内の部屋まで入ってくる。〈聞き耳〉をせずとも足音が聞こえる。
探索者は速やかに行動せねばならず、隠れる場所を調べられるのは1か所までだろう。

このシナリオで想定されているゾ・トゥルミ=ゴへの対処法は隠れつつ救援を待つことだが、それ以外の方法でも探索者の身の安全を確保できれば認める。
もし、救援を呼ばず隠れるのみだった場合、帰ってきてしばらくするとゾ・トゥルミ=ゴは引っ越しの準備を始める。
洞窟内のものはすべて運び出されていき、探索者は発見されレイプされてしまうだろう。
シナリオで設定されている洞窟内で隠れられる場所は以下の通りだが、それ以外の場所でもよい。
また、玉田が生存している場合、彼は探索者が発見されそうになると囮になりゾ・トゥルミ=ゴの気をそらす。

A.監禁室
監禁室の隅には女性ものの服とロープの山があり、この中に隠れることができる。拘束されている女性のふりをした場合、レイプされる。

B.洞窟の廊下
探索者が洞窟の部屋以外で隠れる場所を探した場合、〈目星〉で判定する。成功した場合、人が入れそうな小さなくぼみを発見する。

C.食糧庫
食糧庫には沢山のものが置かれており、隠れる場所は豊富である。保存食を詰める壺の中や、食糧の影など。

D.寝室
寝室は物も少なく、あまり目立つものはない。粗末な寝床の中に隠れられる可能性がある。

監禁室、食糧庫、寝室のどこかで隠れようとする場合、〈目星〉や〈隠れる〉で判定する。具体的な場所を指定していた場合は、〈隠れる〉にボーナスを与えてもよい。
成功した場合、適切な場所に隠れられたものとする。その場合、ゾ・トゥルミ=ゴに発見されることはない。
誰かほかの人間を隠す場合も同じように判定する。ただし、1か所に隠れられるのは1人までとする。
洞窟の廊下にあるくぼみに隠れる場合は、〈隠れる〉に成功しなければ適切に隠れることはできない。
また、夕方や夜に洞窟に到着した場合などで時間に余裕があれば、丁寧に時間をかけたとして〈隠れる〉や〈目星〉にボーナスを与える。

【救援までの処理】


玉田が生き残っていた場合、探索者や妹が発見されそうになると彼が囮になりゾ・トゥルミ=ゴの気をそらす。その場合、探索者は発見されることはない。
ただし、玉田は死亡する。玉田を助けたい場合は、玉田と共にゾ・トゥルミ=ゴ8体と戦闘し2ラウンド生き残る必要がある。探索者はレイプの可能性がある。
③の処理を参照。
①適切な場所に隠れられた場合
探索者はゾ・トゥルミ=ゴ達の息遣いを感じる。洞窟の奥からは彼らの発する独特のいびきのような音と、酸味のある牛乳のようなにおいがする。
探索者はこの世ならざる生物が間近にいる恐怖からSANチェックを行う。
SANチェック
0/1D3(監禁室に隠れており、レイプを目撃した場合は1/1D4の喪失)

②廊下のくぼみに隠れたが、〈隠れる〉に失敗した場合
いくつもの赤いビーズのような眼が探索者を見つめている。口は海底生物の吸盤のようで、そのこの世ならざる顔には何の表情もない。
独特のいびきのような音がなり、酸味のある牛乳のようなにおいが探索者の鼻腔を刺激する。
ゴムのような質感の手が探索者の隠れる穴の中へと入り、探索者に触れる。
その手にはぬるぬるとした粘着質の液体が付着しており、探索者の肌へと刷り込まれてゆく。
幸いなことに、彼らはくぼみの奥までは入ってこられないようだが、探索者は自らの正気がすり減ってゆくことを感じる。
SANチェック
1/1D6

③どこかに隠れたが、〈目星〉や〈隠れる〉に失敗していた場合
探索者はゾ・トゥルミ=ゴ達の息遣いを感じる。洞窟の奥からは彼らの発する独特のいびきのような音と、酸味のある牛乳のようなにおいがする。
探索者はこの世ならざる生物が間近にいる恐怖からSANチェックを行う。
SANチェック
0/1D3(監禁室に隠れており、レイプを目撃した場合は1/1D4の喪失)
そして、救援の時間まで残りわずかといったあたりで、あなたは無数の赤い瞳にのぞき込まれていることに気付く。
彼らは独特のいびきのような音と酸味のある牛乳のようなにおいを発しながら、探索者へと襲い掛かってくる。
ゾ・トゥルミ=ゴ8体との戦闘開始。2R生き残れば警察の応援がやってくる。
また、この戦闘で探索者が気絶した場合はレイプされる。耐久力が0になった場合でも、気絶しレイプされたものとする。
KPはダメージをシークレットで処理するとよいだろう。
探索者は自分の局部に強い痛みを感じ目を覚ます。探索者の目の前にはあのビーズのような眼の化け物がおり、その手は探索者の局部へと入り込んでいる。
朦朧とする意識の中、探索者は自らの中に何かを埋め込まれているような感覚を覚えた。
しばらくすると、警察の応援が洞窟へとやってくる。
レイプされSANチェック
0/1D6

④隠れる場所を見つけられなかった場合
探索者は8体のゾ・トゥルミ=ゴに囲まれる。赤いビーズのような瞳、海底生物の吸盤のような口を持つ顔には表情はない。
ただ、その場に漂う酸味のある牛乳のようなにおいと独特のいびきのような音が、これから何が起こるかを暗示していた。
レイプされSANチェック
0/1D6

【シナリオエンド】


警察の応援を呼んでいた場合、警察は洞窟に突入するとゾ・トゥルミ=ゴと戦闘を始める。
何人かの負傷者が出るものの、ゾ・トゥルミゴは駆逐されるだろう。探索者が戦闘中だった場合、ゾ・トゥルミゴは警察へと意識を向けるため、探索者はゾ・トゥルミ=ゴの狙いから外れる。
レイプされていた場合、僅かに銃声や大丈夫かといった声を聴きながら意識を失う。次に目覚めるのは病院で、事の顛末を聞かされるだろう。
監禁室にいた女性3名と、強姦された柴川と新沼は妊娠している。玉田の妹と探索者はシナリオの展開による。
彼女らは間違いなく、あの忌まわしき生物の子を孕んでいるのだ。

1D6の正気度回復。玉田の生存、妹がレイプされなかった場合は1D3の正気度回復。伊田智恵が生存した場合は1D3の正気度回復。